「果樹は外皮が緑だと、まだ完熟じゃないと思われがちですが、実はあまり関係なかったりするんですよ。」

そう笑って話してくれたのは、綾町で日向夏や果樹をせいさんされている、のもとさん。今からの時期の寒気には十分注意していて、マイナス気温が1日でも3時間も続けば露地の日向夏は中の水分が抜けてしまう「すあがり」という現象が発生してしまい、生鮮での販売が出来なくなるので収穫までの約2ヶ月間は1年間でも大事な仕上げ時期だという。そして、年々天候の問題などで作物が作りづらくなってきていると感じている。そして、年々先輩方が高齢の問題で果樹農家をやめられる方が増えており、産地としての継続が全体的に見ても難しくなってきているという。

「ありがたい話今までは私達へ、引き継いで欲しいという話がありましたが、今後はマンパワーの問題でこれ以上は無理です。」

と農業の厳しい課題点も伺えた。その話をしている最中、収穫が始まっているスイートスプリングを「ほれっ」と手渡してくれた。その一連の流れを伺っていた後継ぎの息子さんが

「自分達からしてみたら、目指すところはまだまだ上。」
と自分の作品に対して厳しい評価。先代もその言葉に首を縦に頷き同意しているそぶりだ。自分は手の中にあるこの1ヶ月間しか食べられない旬のスイートスプリングを頬張った。口に入れた瞬間果肉から溢れ出すジューシーさと、スッキリとした後味が次の一口をはやめた。それを繰り返したら一瞬にして全部食べきってしまい、水分が残っている手をハンカチで拭いたが糖度が高いのかベタベタしていた。それほど甘かった。
この1ヶ月間のために1年間除草剤を使用せず、減農薬栽培で綾町内のスイートスプリングは作られている。スイートスプリング生産者様全員で。その苦労が大きいので、はじめに話したように他の果樹より後継者がいないという現実。ただし、綾町のスイートスプングは作り方として同じものが他にはない綾町産である。
のもとさん、親子はお互いに口数は少ないが休憩が終わり、作業に戻る親父さんの後ろ姿を追いかけるように、息子さんも作業に戻っていった。
まるで、このスイートスプリングを継続するという意思の表れのように。

100年後に綾町の魅力を伝えるために。