「ほれっ、レモン」

そう言われて、手渡された手に香りが充満している。
収穫されてすぐのレモンの切り口から、強烈にいいレモンの匂いがこれでもかと、攻めてきた。そして、レモンの匂いはこんなにもいい香りだという事を、多分はじめて知った。

「除草剤を使用せず、極力農薬を使用しないものづくりで栽培している減農薬栽培です。」
少し恥ずかしそうに作品を説明してくれたのは、綾町で長年にわたり果樹栽培をされている、ふくおかさん。主に日向夏や梨、みかんを栽培している。その立派なレモンは照れながら説明してくださった、ふくおかさんの作品。
まだ、手の中に香りが残っている。
何度も何度も匂いたくなる、レモンの香り。

「ちょっと待って」
そう言うと、すぐそばのレモン畑から違う品種のレモンをとってきてくださった。
「これは、香りがまだ強い品種」
鼻を近づけてみると、先ほどの品種よりも更に強い香りで気持ちが落ち着く。正直、こんなにもいい香りがするものだとは思わなかった。それが、綾町にあることさえあまり知らなかったのが実感としてある。

果樹がくれる「ほっ」とする匂い。
これは、とれたてならではなのかもしれない。
それは、綾町の自然の畑が近いということがもたらしてくれている魅力なのかもしれない。

100年後に綾町の魅力を伝えるために。