冷たい風が吹く中、冷たい水を使いホウレン草を洗うその手は赤くかじかんでいました。

「喜んでほしいから。」

シンプルで当たり前の事。
それは、作品を通して実は手に取る方に何かしら伝わっている。袋の詰め方、野菜の向き、ものすごく細かなところなのかもしれないけれど、無意識のうちにそれは伝わっているのかもしれない。
農家さんはその、受けての無意識のところへとても手間暇をかけていたりする。たった1つの「喜んでほしい」という想いのために。

そう恥ずかしそうに照れ笑いで顔を隠す、ホウレン草を栽培しているいのうえさん。
毎日同じ時間で、365日かわりなく農業に向き合っている。除草剤や農薬を使用せずに、ものづくりに取り組むその姿勢の先には消費者の方の顔をいつも考えている。
天候などによる生育や収穫の不安とは常に隣り合わせなのに、いつも笑顔で作業するその姿には、とても強く優しさを感じる母親の様な雰囲気を感じ、どこか安心しこちらも知らないうちに笑顔になることが多い。

いのうえさんは、現在旦那さんと2人で農業をされているが、その笑顔の裏には体に無理をしている事もある。綾町の農業を支えてきた方々の年齢は、ほぼいのうえさんと同じ60代〜70代。
専業農家ほどの収穫出来る栽培はできないが、数多く現役で綾町内で活躍されている方の素晴らしい作品づくりや、その素敵な人間的な魅力を伝え、多くの方が綾町の作品を手にしていただける様に。

100年後の未来へ魅力を伝えるために。